目次
今回は統合失調感情障害で障害年金を申請する際のポイントを社会保険労務士である私が解説していきます。
統合失調感情障害とは?
統合失調感情障害は、統合失調症と気分障害の症状が同時期に出現します。統合失調症は妄想や幻覚・幻聴などの陽性症状と、意欲低下などの陰性症状の2つの症状が現れるのが特徴です。加えて気分障害は気分の落ち込み、異様なハイテンションの状態となる等の症状があります。これらが組み合わさって同時期に出現するのが統合失調感情障害です。
重症の場合は、日常生活や就労生活を送ることも困難となります。うつ病や双極性障害と誤診されやすく、確定診断まで時間を要するケースも多いです。
統合失調感情障における障害認定基準
統合失調感情障害では「精神の障害」の基準で認定されます。症状の程度だけでなく、日常生活にどの程度の支障が出ているかがポイントです。障害等級は1~3級まであります。
日常生活において常に援助が必要な状態であれば1級。
部分的な援助が必要であれば、その程度によって2級となります。
3級は初診日の時点で厚生年金・共済年金に加入していた方のみ対象ですが「労働に制限をうけているか」についても考慮されます。
よって就労していても、なんらかの支援を受けながら就労している場合は受給できる可能性があるということです。
統合失調感情障害で障害年金を申請する際のポイント5つ
障害年金を申請する際はポイントをとらえる必要があります。統合失調感情障害におけるポイントを5つ、以下に解説していきます。
a.初診日証明をあきらめない
障害年金制度では初診日の証明は必須です。いくら症状が重く、日常生活に影響があっても、初診日が証明できなければ障害年金を受給することはできません。
初診日とは統合失調感情障害に関連する症状で初めて医療機関を受診した日です。初めて受診した医療機関で「受診状況等証明書」という書類を記載してもらうことで証明します。
統合失調感情障害では確定診断までに時間を要し、初診日の証明が難しい場合もあるでしょう。
しかし、診察券やお薬手帳、領収書、精神障害者保健福祉手帳申請時の診断書、第三者証明など、いろいろな資料を基に初診日の証明が可能になる場合もあります。
あきらめず、初診日証明の手がかりとなるものを探しましょう。
b.病状や日常生活のありのままの状態を診断書に反映してもらう
医師の診断書の内容ひとつで不支給となったり、上位等級となったり結果を大きく左右します。診断書作成を依頼する際は、一人暮らしを想定した上で「日常生活において支障が出ている部分」を明確に伝えましょう。
統合失調感情障害の方が受診できる日は、比較的調子の良い日ではないでしょうか。症状に波のある疾患のため、調子の悪い状態を主治医が把握していない可能性もあります。
メモに書くなどをして、ありのままの状態をしっかりと医師に伝えることが重要です。診断書を受け取ったら、事実と相違がないか、記載漏れがないかもしっかりと確認しましょう。
医師にうまく伝えられるのか不安がある場合は、社会保険労務士に相談の上、同行してもらうことも可能です。
c.必要に応じて転医も可能
医師によっては障害年金の知見がなく、診断書作成に抵抗を示される場合もあります。
障害年金を申請する上で診断書はとても重要な書類です。必要に応じて、医師の協力が得られるような病院に変更(転医)することも検討しましょう。
転医してすぐに診断書を作成してもらうのは難しいですが、数ヶ月間の通院を通して状態を把握してもらい、診断書作成を依頼することができます。
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病歴・就労状況等申立書も大切
病歴・就労状況等申立書も唯一ご本人・ご家族が記載できる書類であり大切です。3~5年おきに、発症から現在に至るまでの受診状況、病状の経過と日常生活や就労生活への具体的な影響を記載します。診断書の内容を補足するような形で、詳しく丁寧に記載しましょう。
診断書や受診状況等証明書の内容と矛盾がないように気をつけて下さい。
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遡及請求したい場合の注意点
初診日から1年6ヶ月を過ぎた日が「障害認定日」となり、必要な要件を満たしていれば、障害認定日の翌月から障害年金を受給できます。既に障害認定日から期間が空いてしまっている場合でも、障害認定日に遡って請求することは可能です。遡及請求はどんなに障害認定日が古くとも、実際に支払われるのは5年分という規定があります。
また遡及請求する場合は、症状の継続性にも注意が必要です。例えば、遡及請求したい期間内で就労していた場合、その内容だけでは請求が認められない可能性があります。
就労していても何らかの支援を受けていた、欠勤が多かったなどの事実がある場合はそれを病歴・就労状況等申立書に必ず記載しましょう。
遡及請求は少し難易度が上がりますが、受給できる可能性があれば、あきらめずに申請しましょう。
まとめ
障害年金制度は複雑で、申請する際は気をつけなければならない点が多くあります。しかし受給できるようになると生活への負担軽減や治療に専念することができるかもしれません。該当している可能性があれば、あきらめずに申請を検討してみましょう。
申請準備に行き詰まったら、障害年金のプロである社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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