【社労士が解説!】脳出血で障害年金は受給できるのか

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名東障害年金サポート事務所

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 はじめに

脳出血を引き起こすと、肢体麻痺や言語障害・高次脳機能障害などの後遺症が残ることがあります。

その場合、障害年金の受給対象となるため必ず請求しましょう。

この記事では、認定基準として定められている障害の状態についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。この記事では、障害年金制度の全体像を解説したうえで、眼の障害における障害認定基準を最新の情報で紹介します。最後までお読みいただけると、現在抱えている障害の状態で障害年金を受け取れるかを正しく理解できます。

 

障害年金の種類

障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、初診日に加入している公的年金の種類によって支給される年金が異なります。

 

障害基礎年金は、初診日に原則国民年金に加入している方がもらえる年金のことです。自営業者やフリーランス、無職の方などが対象者です。また第3号被保険者である専業主婦や、20歳前に傷病を負った方も障害基礎年金の支給対象に該当します。

 

一方、障害厚生年金は初診日に厚生年金に加入している方を、支給対象とした年金です。障害厚生年金は障害基礎年金に比べて支給対象となる障害の範囲が広く、軽度の障害であっても支給される可能性があります。

 

障害年金の受給要件

初診日に原則公的年金に加入していること(初診日要件)

初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの期間において、3分の2以上保険料を納付または免除されていること。または初診日が令和841日前にある場合については、初診日において65歳未満であり、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの一年間に保険料の未納がないこと。(保険料納付要件)

障害認定日に障害年金を受給できる障害の程度(障害等級)に該当すること(障害状態該当要件)

 

なお20歳未満の方と60歳以上65歳未満で日本国内に在住されている方は、公的年金の加入義務がありません。初診日に年金制度に加入していなくとも、障害年金が支給される場合があります。

 

このように障害年金を受給するためには、原則初診日に公的年金に加入している状態にあり、保険料を基準どおりに納めていることが必須要件です。

 

さらに障害の状態は、障害等級に該当する程度でなくてはなりません。障害等級は13級まで存在しており、1級が障害の重い状態、3級が軽度の状態をそれぞれ示します。

 

また障害等級3級に該当しない軽度の障害であっても、障害手当金の支給対象となるケースがあります。障害手当金は年金ではありません。一時金としてまとまった金額が一度に支給されます。

 

注意点として障害基礎年金の受給対象者は、障害等級2級以上でなければ障害年金を受給できません。障害等級3級や障害手当金に該当する場合については、障害厚生年金の受給対象者のみ年金や一時金が支給されます。

 

脳梗塞・脳出血の後遺症における障害認定基準

障害認定基準とは、どの程度の障害であれば障害等級に該当するかについて定めたものです。

障害認定基準は障害の種類ごとに設けられています。例えば、眼の障害であれば「眼の障害認定基準」、精神疾患による障害であれば「精神の障害認定基準」といった具合です。

脳梗塞・脳出血の場合、身体の様々な部位に後遺症が残ります。そのため、後遺症の種類によって適用される障害認定基準が異なるわけです。

次からは後遺症の種類によって、どの障害認定基準が適用されるかを紹介します。

 

 

身体に麻痺が残る場合の障害認定基準

脳梗塞・脳出血の後遺症として、体の広範囲に麻痺が残るケースは非常に多いものです。この場合「肢体の機能の障害」の障害認定基準が適用になります。

 

肢体の機能の障害の認定基準

認定基準には、以下のように障害等級判定の大元となる考え方が明示されています。

 

いくつか、耳慣れない用語もあるかと思いますのでここで要約します。

 

「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」とは?

他人の介助を受けなければほとんど自分の用事を済ませられない状態を指します。例えば身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできなかったり、生活の範囲がベット周辺に限られたりする場合は、障害等級1級に該当する可能性があります。

 

「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」とは?

必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活が困難なため労働により収入を得ることができない状態を指します。 例えば簡単な家事(軽食作りや下着の洗濯等)はできるけれども、 それ以上の活動はできなかったり、活動範囲が家の中に限られるような場合は、障害等級2級に該当する可能性があります。

 

肢体の機能の障害の認定要領

認定基準を補うための事項を定めた「認定要領」を確認することで、より詳細な障害等級判定の考え方を理解できます。

 

肢体の機能の障害の障害認定要領において重要なポイントは、日常生活の動作状態をもとにして障害等級を認定する点です。

 

日常生活における動作の具体的な評価ポイントが、以下のように身体機能の種類ごとに例示されています。

 

手指の機能

(ア)つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)

(イ)握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)

(ウ)タオルを絞る(水をきれる程度)

(エ)ひもを結ぶ

 

上肢の機能

(ア)さじで食事をする

(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)

(ウ)用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)

(エ)用便の処置をする(尻のところに手をやる)

(オ)上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)

(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

 

下肢の機能

(ア)片足で立つ

(イ) 歩く(屋内)

(ウ) 歩く(屋外)

(エ)立ち上がる

(オ) 階段を上る

(カ)階段を下りる

 

上記の項目は肢体の障害の診断書に掲載されており、担当のお医者さんが4段階評価で記載します。

 

 

そしゃく・嚥下能力に後遺症が残る場合の障害認定基準

脳梗塞・脳出血によって飲み込みに関連する神経に障害が起こると、咽頭や喉頭の筋肉に麻痺が発症する場合があります。この場合、障害等級の判定には「そしゃく・嚥下機能の障害 」の障害認定基準が適用されます。

 

後遺症として言語障害が残る場合の障害認定基準

脳梗塞や脳出血によって、脳にある言語野という部位にダメージを受けると、言語障害が生じることがあります。

脳の障害による言語障害には以下のものが含まれます。

・構音障害又は音声障害:発音に関わる機能に障害が生じた状態

・失語症:大脳の言語野の後天性脳損傷(脳梗塞や脳出血)により、いったん獲得された言語

・機能に障害が生じた状態

この場合「音声又は言語機能の障害 」の障害認定基準が適用されます。

 

                             引用:日本年金機構

脳梗塞・脳出血の後遺症で障害年金を請求する際の注意点

脳梗塞・脳出血によって後遺症が残る場合、障害認定日の特例が適用され、早く障害年金を受給できるケースがあります。

 

障害認定日とは、初診日から16ヶ月経過した日です。

 

 

 障害認定日の特例を受けられるケースがある

障害認定されれば、障害認定日の翌月分から障害年金を受給できます。しかし、裏を返せば、初診日から16ヶ月待たなければ障害年金は受給できないわけです。

 

一方、脳梗塞や脳出血によって機能障害が残る場合で、初診日から6月を経過した日以後に医学的な観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるときには、16ヶ月を待たずして、障害年金を請求できる可能性があります。

 

 

後遺症の種類によって使用する診断書が異なる

障害年金の請求を行う際の重要書類である診断書の書式は、後遺症の種類によって異なります。

 

後遺症の種類

診断書の種類

身体に麻痺が残る障害

診断書様式第120号の3(肢体用)

そしゃく・嚥下能力

言語障害の障害

診断書様式第120号の2(聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・しょしゃく・嚥下・言語機能用)

高次脳機能障害

診断書様式第120号の4(精神用)

 

いくつか後遺症が併存している場合、診断書を複数提出することで、上位の障害等級での認定を受けられるケースがあります。これを併合認定と呼びます。

 

ただし複数診断書を提出したからといって、必ずしも上位の障害等級で認定を受けられるとは限らないのもまた事実です。この場合、費用と労力をかけて診断書を複数枚そろえても、無駄になってしまいます。

 

併合認定を視野に入れた障害年金の請求は、専門性が問われます。なぜなら制度が複雑なため、一般の方にはわかりづらい面があるためです。もし脳梗塞や脳出血で複数の後遺症が生じている場合には、年金制度の専門家である「社会保険労務士」へご相談されることをおすすめします。

 

 

主治医と、積極的にコミュニケーションを取る

請求する側が、主治医と積極的にコミュニケーションを図ることが、障害年金を確実に受給するために重要です。

 

請求書類の中でも重要書類である診断書には、主治医の客観的な目線で障害等級の判定の肝となる日常生活の能力や状況について、適切に反映してもらわねばなりません。

 

「生活のどのようなところに、不自由や不便を感じているか」や「家族からは、どんなサポートを受けているのか」といった日常生活の具体的な状況を総合的に判断されることになります。

 

とはいえ短い診察時間のみで、主治医が生活の様子を把握することは困難です。だからこそ、主治医へ詳しく伝えねばならないのです。

 

このようにお医者さんとのコミュニケーションは障害年金の申請準備をすすめるうえで、欠かせないものです。

 

主治医に作成してもらった診断書のチェック

主治医に作成してもらった診断書は、必ずご自身でチェックする必要があります。医療機関が作成してくれた書類だから安心だろうと過信して、そのまま年金事務所へ提出するのは危険です。

 

日常生活の状況や症状が現況に基づき表現されているか、症状がもれなく書かれているかについて、厳しい目でチェックしましょう。

 

実態よりも症状や生活への影響が軽く書かれてしまっている場合、もらえるはずだった金額より、受給できる金額が少なくなってしまったり、不支給になってしまったりといった恐れがあります。

 

チェック後に修正して欲しい箇所を見つけた場合には、再度主治医の元を訪れ修正の相談を行いましょう。

 

病歴・就労状況等申立書を正しく記入する

病歴・就労状況等申立書は診断書と同様、障害年金の請求において重要な書類です。第三者の視点で書かれる診断書を、請求者の視点から補足する役割を持ちます。

 

発病から初診までの経過や、その後の受診状況、生活状況などをご自身、またはご家族が記入する必要があります。また、脳梗塞や脳出血の後遺症によってどんな症状が出ていて、日常生活や就労の際にどのような支障が出ているかについて、具体的に書くことも大切です。

 

そのため、ご自身の症状をしっかり把握しておくと病歴・就労状況等申立書を作成する際に大変役立ちます。

 

一方で「働けなくて経済的に困っている」といった具合に、切実に抱く感情を書いてしまう方がいらっしゃいます。この場合、「診断書の内容を補足し、適正な障害認定を行ってもらう」といった、病歴・就労状況等申立書本来の役割を果たせなくなってしまうため注意が必要です。

 

障害年金の申請手続きの流れ

障害年金の申請手続きの大まかな流れは、以下のとおりです。

STEP1.年金事務所で初回年金相談を受ける

STEP2.医師に診断書の作成を依頼する

STEP3.病歴・就労状況等証明書を作成する

 

まとめ

障害年金制度は複雑で、申請する際は気をつけなければならない点が多くあります。しかし受給できるようになると生活への負担軽減や治療に専念することができるかもしれません。該当している可能性があれば、あきらめずに申請を検討してみましょう。

 

申請準備に行き詰まったら、障害年金のプロである社会保険労務士に相談することをおすすめします。

  

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障害年金の申請についてご不明な点などがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なくご連絡をいただければと思います。

 

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