「難病指定を受けているけれど、障害年金はもらえるの?」「特定疾患の医療費助成と障害年金は別物?」――難病と診断された方やそのご家族から、こうしたご相談をよくいただきます。難病は症状の波があり、日常生活への影響も人それぞれ。だからこそ、障害年金の制度を正しく理解しておくことが、安心した暮らしへの第一歩になります。
この記事では、難病指定疾患と障害年金の関係について、基礎知識から申請のポイントまで分かりやすく解説します。
難病指定疾患とは?障害年金との関係
難病とは、発病の原因が明らかでなく、治療法も確立していない希少な疾病で、長期療養が必要なものを指します。国が指定する「指定難病」は現在340疾患以上あり、医療費助成の対象となっています。
難病指定と障害年金は別の制度
ここで押さえておきたいのが、難病指定(医療費助成)と障害年金は、まったく別の制度であるということです。難病指定を受けていても自動的に障害年金がもらえるわけではなく、逆に難病指定を受けていなくても、症状や生活への影響によっては障害年金を受給できる可能性があります。
障害年金は、病名ではなく「日常生活や労働にどれだけ支障があるか」で判断される制度です。これが大きなポイントです。
障害年金の対象となる主な難病
障害年金の対象となる難病には、以下のような疾患があります。
- 神経系:パーキンソン病、多発性硬化症、筋ジストロフィー、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、脊髄小脳変性症など
- 膠原病・自己免疫疾患:全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、強皮症、ベーチェット病など
- 消化器系:潰瘍性大腸炎、クローン病、肝硬変など
- 血液・代謝:再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病など
- 呼吸器系:肺リンパ脈管筋腫症、間質性肺炎など
これらは一例です。難病指定されていない疾患でも、症状の重さによって申請できる場合があります。
障害年金の等級と受給額
障害年金は症状の重さに応じて等級が決まります。令和8年度の障害基礎年金の金額は次の通りです。
- 1級:年額 1,059,125円(月額約88,260円)
- 2級:年額 847,300円(月額約70,608円)
厚生年金加入中に初診日がある方は、これに加えて障害厚生年金(1~3級)が支給されます。3級は障害厚生年金のみの等級で、より幅広い症状が対象です。
難病で障害年金を申請する際の重要ポイント
1. 初診日の特定が最重要
障害年金の申請では「初診日」の証明が必須です。難病は確定診断までに長い時間がかかることが多く、最初に症状で受診した医療機関がすでに廃院していたり、カルテが破棄されていたりするケースも珍しくありません。
難病と確定診断された日ではなく、その症状で初めて医師の診療を受けた日が初診日となるため、注意が必要です。
2. 症状の波を診断書に反映してもらう
難病は症状に波があり、調子の良い日と悪い日があります。診断書は記入された日の状態だけでなく、普段の状態や悪化時の状態も含めて記載してもらうことが重要です。受診時に「日常生活でこんなことが困っている」と具体的に伝えましょう。
3. 病歴・就労状況等申立書を丁寧に
申立書は、ご自身の言葉で日常生活や仕事への支障を伝える唯一の書類です。具体的なエピソード(着替えに時間がかかる、外出時に介助が必要、休職を繰り返しているなど)を盛り込みましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. 難病指定を受けていれば必ず障害年金をもらえますか?
いいえ。難病指定と障害年金は別制度です。日常生活や労働への支障の程度によって判断されます。
Q2. 働きながらでも受給できますか?
就労していても受給できる場合があります。特に内部疾患や精神的影響を伴う難病では、働き方や配慮の有無が考慮されます。
Q3. 症状が軽くなったら年金は止まりますか?
定期的な再認定(更新)があり、症状が改善すれば等級変更や支給停止になる可能性があります。逆に悪化した場合は、額改定請求も可能です。
申請前のチェックポイント
- 初診日を証明できる資料(受診状況等証明書)はそろっているか
- 初診日時点で年金保険料の納付要件を満たしているか
- 主治医に障害年金申請について相談できているか
- 日常生活の困りごとを具体的にメモにまとめているか
難病による障害年金の申請は、書類の準備や症状の伝え方に専門的な知識が必要です。一人で抱え込まず、障害年金に詳しい社労士などの専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けることで、受給の可能性を高められる場合があります。
まとめ
難病指定疾患と障害年金は別の制度ですが、難病による日常生活や労働への支障がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。重要なのは、病名ではなく症状の重さと生活への影響で判断されるという点です。
令和8年度の障害基礎年金は1級で年額1,059,125円、2級で年額847,300円と、生活を支える大切な制度です。初診日の特定や診断書の依頼、申立書の作成など、申請には準備が必要なポイントがいくつもあります。難病と向き合いながらの手続きは負担も大きいものです。不安を感じたら、ぜひ専門家の力を借りながら、ご自身に合った形で制度を活用してください。
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