迷っている時間が、将来の受給開始を遅らせてしまいます。今すぐご相談ください。

このコラムを通じて、障害年金申請で悩む方が一人でも多く、希望を手にされることを願っています。

50代になり、長年の無理がたたったのか、病気やケガでこれまでのように働けなくなってしまった。「定年まで、まだ間があるのに、これからの収入はどうしよう…」と、大きな不安を感じていませんか？

そんな時、あなたの頭に浮かぶ選択肢は、おそらく二つでしょう。 一つは、本来65歳から受け取る「老齢年金」を前倒しで受け取る「繰上げ受給」。 そしてもう一つが、病気やケガを理由に受け取る「障害年金」です。

この二つの選択は、あなたの今後の人生設計に、非常に大きな影響を及ぼします。この記事では、50代で働くことが困難になったあなたが、どちらの制度を選ぶべきか、そのメリット・デメリットを、専門家が徹底比較します。

50代の選択は、後戻りできない

　　

50代は、老後の生活が現実味を帯びてくる年代です。この時期に働くことが困難になると、収入の不安から、つい目先の現金に飛びついてしまいがちです。しかし、特に「老齢年金の繰上げ受給」は、一度選択すると、生涯取り消すことができない、後戻り不能の選択です。だからこそ、もう一つの選択肢である「障害年金」について、正しい知識を持っておくことが、将来の自分を守るために不可欠なのです。　

 

選択肢①：「老齢年金の繰上げ受給」のメリットと、致命的なデメリット

　　　　

▪️メリット：

• 60歳から64歳の間に、比較的簡単な手続きで、老齢年金を受け取り始めることができる。

 

▪️致命的なデメリット：

• 生涯にわたって、年金が減額される： 1ヶ月繰り上げるごとに0.4%（最大で24%）減額され、その減額率は一生続きます。

• 障害年金がもらえなくなる： 繰上げ受給を選択した後に、同じ病気やケガで障害状態になっても、原則として障害年金は請求できません。

• 寡婦年金や振替加算がもらえなくなる場合がある。 つまり、目先の収入と引き換えに、将来にわたる大きな不利益を被る可能性がある、非常にリスクの高い選択なのです。

 

選択肢②：「障害年金」の大きなメリット

病気やケガで、国が定める障害等級（1級～3級）に該当する場合に、請求できます。

▪️年金額が減額されない： 障害年金は、正規の年金額が支給され、非課税です。

▪️老齢年金への影響がない： 障害年金を受けても、65歳から受け取る老齢年金が減額されることはありません。

▪️配偶者や子の加算がある： 条件を満たせば、家族の分の年金が上乗せされます。 もし受給できるのであれば、繰上げ受給に比べて、圧倒的に有利な制度であると言えます。

   　

【徹底比較】障害年金 vs 繰上げ受給

　　    　

・年金の減額　

【障害年金：なし】vs【老齢年金の繰上げ受給：あり（生涯続く）】

 

・税金

【障害年金：非課税】vs【老齢年金の繰上げ受給：課税対象】

 

・家族の加算

【障害年金：あり】vs【老齢年金の繰上げ受給：なし】

 

・将来の老齢年金

【障害年金：影響なし】vs【老齢年金の繰上げ受給：減額されたまま】

 

・他の年金への影響

【障害年金：選択の自由がある】vs【老齢年金の繰上げ受給：障害年金などがもらえなくなる】

　　    　

もし、両方もらえるようになったら？「一人一年金の原則」

　　　

65歳になると、障害年金と老齢年金の両方を受け取る権利が発生する場合があります。しかし、原則として、両方を満額受け取ることはできず、どちらか有利な方を選択することになります（これを「一人一年金の原則」と言います）。ただし、障害基礎年金と老齢厚生年金、といった組み合わせで受け取れる場合もあります。

 

まとめ：結論、まずは「障害年金」の可能性を絶対に検討すべき

ここまでお読みいただければ、結論は明らかです。50代で働くことが困難になった場合、安易に「老齢年金の繰上げ受給」に飛びついてはいけません。 まずは、ご自身の病気やケガで「障害年金」が受給できないか、その可能性を徹底的に検討すること。これが、あなたの将来の生活を守るための、鉄則です。