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「障害年金を申請したいと考えているんだけど、障害者手帳をもっているから申請できないのでは?」
逆に、
「障害者手帳を持っていないから、障害年金は無理なんじゃいか?」
このような悩みを抱え、障害年金をあきらめていらっしゃる方らの相談をたくさん受けます。
ご安心ください。障害年金と障害者手帳は全く別物になりますから障害手帳を持っている、持っていないにかかわらず障害年金は請求することができます。(納付要件・初診日・障害の状態の三つを満たしていることが基本です)
そこで今回は、障害年金との違いや障害者手帳の内容と申請方法について、専門家である社会保険労務士が解説します。
障害者手帳と障害年金の制度の違いは?
上記のような違いがあるため、申請先や制度を利用する際に満たすべき条件も異なり
国や行政から受けるサポート内容も異なります。
障害年金はその名の通り、年金を受給できます。一方で、障害者手帳は税金の軽減措置が受けられたり、公共交通機関の料金が割引されたりといった優遇措置を複数受けられます。
このように障害年金と障害者手帳は、全く別物なのです。
障害者手帳とは?
障害者手帳は、傷病によって障害が残ったときに、一定の基準を満たしていれば地方自治体より交付されます。
障害者手帳が交付されれば、多様なサービスを利用できます。例えば医療費や補装具に対し助成が受けられたり、公共交通機関利用料金や携帯電話料金、動物園の入場料の割引が受けられたりします。
ここで気になるのは、「障害者手帳を利用するために満たすべき要件は何か?」についてです。
障害年金と異なり、障害者手帳の場合は年金制度への加入状況や保険料の納付状況は問われません。障害の種類と重さで交付の可否が判定されます。
障害者手帳には、3つの種類がある
一口に障害者手帳といっても以下のように3種類あり、それぞれ対象となる障害も異なります。
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
それぞれの内容について、詳しく解説します。
身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害があると認められる場合に交付される手帳です。
障害年金同様、障害があれば誰でももらえるわけではありません。身体障害者障害等級表に定められた障害の種類と程度に当てはまり、なおかつ障害が一定期間以上継続される見込みがある場合に交付されます。
身体障害者手帳の等級は1〜7級まであり、等級によって受けられるサービスは自治体ごとに異なります。原則6級までしか身体障害者手帳の交付はありません。しかし、7級に値する障害を複数持つ場合には、交付が受けられるケースもあるようです。
身体障害者手帳には更新制度は設けられていません。しかし、障害状態の軽減が予想される場合には、手帳の交付後に再認定が実施されるケースもあります。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害により長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある方の自立支援を目的として作られた制度です。
長期にわたり生活に制約を受ける状態であることが要件とされているため、原則初診日から6ヶ月経過した後でないと、申請が行えません。
精神障害者保健福祉手帳の申請にあたって、原則精神保健指定医(又は精神障害の診断又は治療に従事する医師)が作成した診断書を添付する必要があります。医師の書いた診断書なら何でも認められるわけではありません。
ただしてんかんや発達障害、高次脳機能障害などを患っている方で、精神科以外の科で診療を受けている場合もあるでしょう。このケースでは障害における専門の医師が記載した診断書ならば、申請書類として認められます。
精神障害者保健福祉手帳の対象となる主な精神障害には以下のものがあります。
- 統合失調症
- うつ病、そううつ病
- てんかん
- 薬物やアルコールによる急性中毒や依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害
ただし上記の障害に該当するならば、誰でも利用できるわけではありません。
精神障害者保健福祉手帳の障害等級判定基準に基づき、各等級に該当する障害の程度に
あてはまる場合のみ利用できます。以下は厚生労働省によって明示されている、障害等級
の判定基準です。
このように障害の重さと日常生活への影響具合が総合的に考慮されたうえで、等級判定されるのです。障害の重さや生活の影響具合がどの程度ならば障害等級に該当するかの具体的な内容については、以下のページで確認できます。
精神障害者保健福祉手帳の認定基準と、精神の障害における障害年金の認定基準は似ているといわれています。たとえば2級の障害者手帳をお持ちの方ならば、2級の障害年金を受給できる可能性が高いわけです。
障害者手帳に比べて、障害年金の方が受給要件が複雑かつハードルも高いため、確実に精神障害者保健福祉手帳の等級と同じ等級で、障害年金を受給できるわけではありません。
しかし、ご自身が障害年金において、何級に認定されるかの目安にはなるでしょう。
一方、既に障害年金2級を受給しているなら、障害者保健福祉手帳を申請する場合に
は審査不要で精神障害者保健福祉手帳2級の交付を受けられます。
療育手帳
療育手帳は知的障害のある方を対象とした制度です。他の手帳同様に交付が受けられれば、さまざまなサービスを利用できます。
療育手帳の認定は、IQと日常生活動作(身辺整理やコミュニケーションなど)を総合
的に加味したうえでなされます。IQが70以下であれば、療育手帳の認定を受けられるといわれていますが、詳細な認定基準については自治体によって異なります。
知的障害のある方は、精神障害者保健福祉手帳ではなく療育手帳の対象です。
ただし知的障害の他に精神障害も発症している場合には、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳、両方の交付が受けられます。手帳によって受けられるサービスも異なるため、両方の交付を受ければ、幅広いサポートを受けられる可能性があるのです。
療育手帳は名称や判定基準、受けられるサービス内容など、お住まいの自治体によって異なります。お住まいの自治体に即した詳細な内容を知る場合には、市町村役場の障害福祉窓口へと直接問い合わせてみましょう。
障害者手帳の申請方法
障害者手帳の申請は、お住まいの市町村役場の障害福祉窓口へ、申請書類一式を提出して行います。
窓口申請の際に必要となる主なものを列挙します。
- 交付申請書(市町村役場の窓口にて入手可能)
- 診断書・意見書(同上)
- 印鑑
- マイナンバーのわかるもの
- 申請する本人の顔写真
- 母子手帳(養育手帳の場合)
申請に必要な書類は、申請する障害者手帳の種類や自治体によっても異なるため、事前
に市町村役場の窓口に確認してから揃えるようにしましょう。
まとめ
この記事では、障害年金と障害者手帳の違いについて解説しました。
障害年金と障害者手帳は、運用機関も根拠となる法律も異なる、全く別の制度です。
日本年金機構の運用する障害年金の場合、受給要件を満たせば公的な年金を受け取れます。一方、地方公共団体の管轄する障害者手帳の交付が受けられれば、公共交通機関の割引や、医療費の助成などさまざまなサービスを受けられます。
障害年金と障害者手帳。いずれの要件も満たすのであれば両方利用できるためより生
活の安心感が高まるでしょう。
しかし、保険料納付要件や初診日要件など、満たすべき要件が多く存在する障害年金は、障害者手帳に比べて認定までのハードルが高いのも事実です。
そのため「自分が障害年金を受けられる状態にあるかよくわからない」といった場合も
多いのではないでしょうか?その場合には、年金制度のプロである「社会保険労務士」
へ相談するのがおすすめです。
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