障害年金を申請したのに「不支給」や「思っていた等級より低い決定」が下りた場合、その結果に納得できないこともあるでしょう。実は、障害年金の決定には不服申立て制度が用意されており、決定を覆せる可能性があります。この記事では、審査請求・再審査請求の手続きの流れや成功のポイントを、社労士の視点から分かりやすく解説します。
障害年金の不服申立て制度とは?
目次
障害年金の決定に不服がある場合、2段階の不服申立てが認められています。
- 第1段階:審査請求(地方厚生局の社会保険審査官に対して行う)
- 第2段階:再審査請求(厚生労働省の社会保険審査会に対して行う)
審査請求で結果が変わらなかった場合に、再審査請求へ進むという流れです。再審査請求の決定にも不服がある場合は、最終的に裁判(行政訴訟)で争うこともできます。
不服申立てができるケースの例
- 申請したのに「不支給」となった
- 1級と思ったのに2級に決定された
- 2級と思ったのに3級(障害厚生年金の場合)に決定された
- 障害認定日請求が認められず、事後重症のみ認められた
令和8年度の障害基礎年金は1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円と、等級によって受給額が大きく変わります。納得いかない決定であれば、不服申立てを検討する価値は十分にあります。
審査請求の手続きの流れ
1. 請求期限を確認する
審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。期限を過ぎると原則として審査してもらえないため、決定通知を受け取ったらすぐに動き始めましょう。
2. 必要書類を準備する
- 審査請求書(地方厚生局のウェブサイトからダウンロード可能)
- 処分通知書のコピー
- 不服の理由を裏付ける医証や資料
3. 社会保険審査官へ提出
管轄の地方厚生局の社会保険審査官に提出します。提出後、おおむね3〜6か月程度で決定(決定書)が出されます。
再審査請求の手続き
審査請求の結果に納得できない場合、決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に再審査請求を行えます。再審査請求は社会保険審査会で行われ、口頭意見陳述(公開審理)に出席することも可能です。直接自分の主張を伝えられる貴重な機会となります。
不服申立てを成功させるためのポイント
① 「なぜ不支給・低い等級になったのか」を正確に把握する
まずは年金事務所で不支給理由や認定資料を取り寄せ、どこに問題があったのかを把握することが重要です。
② 診断書の内容を見直す
多くのケースで、診断書の記載内容が決定の決め手になっています。日常生活能力の判定や程度が実態より軽く書かれていないか、医師に再度相談し、必要に応じて訂正や補足意見書をもらいましょう。
③ 病歴・就労状況等申立書を補強する
本人の状況を伝える唯一の書類が「病歴・就労状況等申立書」です。日常生活でできないこと、援助を受けていることを具体的かつ詳細に記載し直すと、説得力が増します。
④ チェックポイント
- 請求期限(3か月・2か月)を厳守しているか
- 不服の理由が論理的に整理されているか
- 新たな医証や資料を添付できているか
- 初診日の認定に問題はなかったか
不服申立ては社労士への相談がおすすめ
不服申立ては、書類の作成も主張の組み立ても専門性が高く、ご本人だけで進めるのは大きな負担になります。とくに「なぜ不支給になったのか」を制度の観点から分析する必要があるため、障害年金専門の社労士への依頼が現実的な選択肢です。
社労士に依頼する場合の着手金は2〜5万円程度が目安です(事案の難易度や初診日証明の困難さ等により異なります)。成功報酬型を採用している事務所も多いため、最初の相談時に費用体系をよく確認しましょう。
また、不服申立てをするより「額改定請求」や「再請求」を行ったほうが早い場合もあります。状況に応じた戦略の選択が重要なので、まずは専門家へ相談することをおすすめします。
よくある質問(Q&A)
Q1. 審査請求で結果が変わる確率はどれくらいですか?
統計上、審査請求で原処分が変更されるケースは決して多くはありませんが、適切な医証の追加や主張の組み立てによって覆る可能性があります。
Q2. 不服申立て中に再請求してもいいですか?
状況によっては不服申立てより再請求のほうが有利な場合もあります。判断が難しいため、専門家にご相談ください。
Q3. 期限を過ぎてしまったらどうなりますか?
原則として不服申立てはできなくなります。ただし、新たに「再請求」や「額改定請求」を行う道は残されています。
まとめ
障害年金の決定に納得できない場合、審査請求(3か月以内)→再審査請求(2か月以内)という不服申立ての制度が用意されています。重要なのは、不支給や低い等級になった原因を正確に把握し、診断書や申立書の内容を見直すことです。手続きの期限が短く、専門知識も必要となるため、決定通知を受け取ったらすぐに障害年金専門の社労士へ相談されることをおすすめします。あきらめずに次の一手を検討することで、本来受け取れるはずの年金を受給できる可能性が広がります。
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