慢性腎不全により人工透析を受けている方、またはこれから透析導入を控えている方にとって、治療と生活の両立は大きな課題です。経済的な負担を軽減する制度として「障害年金」がありますが、「人工透析を受けていれば必ずもらえるの?」「いつから申請できるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、人工透析と障害年金の関係、2級認定の条件、申請の流れについて、わかりやすく解説します。
人工透析を受けている人は障害年金2級に該当する可能性が高い
目次
結論からお伝えすると、人工透析療法を受けている方は、原則として障害年金2級に認定される可能性が高いとされています。これは、国が定める「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」において、人工透析療法施行中のものは障害等級2級と例示されているためです。
つまり、慢性腎不全で人工透析を受けていること自体が、2級相当の障害状態として明示されているということです。これは他の傷病と比べても、認定基準が比較的明確である点が特徴です。
2級に認定された場合の年金額(令和8年度)
- 障害基礎年金2級:年額 847,300円(月額約70,608円)
- 障害厚生年金2級:上記に加え、報酬比例の年金額+配偶者加給年金(条件あり)
お子さんがいる場合は、子の加算も付きます。初診日に厚生年金に加入していた方は、障害厚生年金も併せて受給できる可能性があります。
2級より上位(1級)に認定されるケース
人工透析を受けている方の中でも、以下のような状態の場合は1級に認定される可能性もあります。
- 透析を受けていても、日常生活がほぼベッド上で完結し、活動範囲が病院・自宅内に限られる
- 他の合併症(心不全、糖尿病性網膜症による視覚障害など)が重度である
- 食事・身の回りのことに常時介助が必要な状態
1級に認定されると、障害基礎年金は年額1,059,125円(月額約88,260円)となります。
申請のタイミング|「初診日」と「透析開始日」がカギ
初診日の特定が重要
障害年金の申請では、「初診日」を正確に特定することが最も重要です。初診日とは、その傷病で初めて医師の診察を受けた日のことを指します。腎臓病の場合、健康診断で異常を指摘されて受診した日や、自覚症状で内科を受診した日などが初診日になることが多いです。
人工透析の特例「初診日から1年6か月の特例」
通常、障害年金は初診日から1年6か月経過した「障害認定日」以降に請求できます。しかし、人工透析を開始した日から3か月を経過した日が、初診日から1年6か月以内であっても障害認定日として認められる特例があります。
つまり、初診日から1年6か月を待たなくても、透析開始から3か月経過すれば請求できるということです。これは透析患者にとって非常に重要なポイントです。
申請時のチェックポイント
スムーズに申請を進めるため、以下の点を確認しましょう。
- 初診日の証明:受診状況等証明書を初診の医療機関で取得できるか
- 保険料納付要件:初診日の前々月までに、加入期間の3分の2以上保険料を納付しているか(または直近1年に未納がないか)
- 診断書の内容:透析開始日、透析の頻度、検査数値(クレアチニン値、GFR等)が正確に記載されているか
- 病歴・就労状況等申立書:発症から現在までの経過を時系列でまとめる
よくある質問(Q&A)
Q1. 透析をやめれば年金も止まりますか?
A. 移植などにより透析が不要になった場合、更新時の診断書で障害状態が軽くなったと判断されると、等級変更や支給停止になる可能性があります。ただし、移植後も一定期間は経過観察が必要とされるケースもあります。
Q2. 働きながらでも受給できますか?
A. 障害基礎年金・障害厚生年金ともに、就労していること自体で支給停止になることはありません。透析を受けながら勤務している方も多く受給されています。
Q3. さかのぼって請求できますか?
A. 障害認定日から請求が遅れた場合でも、最大5年分まで遡及して請求できる可能性があります(認定日請求)。
専門家への相談をおすすめします
人工透析の障害年金は認定基準が明確である一方、初診日の特定や保険料納付要件の確認、書類の整え方で結果が左右されることもあります。特に、初診から長い年月が経過している方や、複数の医療機関を受診してきた方は、ご自身だけで進めるのが難しいケースもあります。
不安な点がある場合は、障害年金を専門とする社会保険労務士(社労士)への相談をおすすめします。初回相談を無料で受け付けている事務所も多く、スムーズな申請につながります。
まとめ
人工透析を受けている方は、障害年金2級に認定される可能性が高く、令和8年度では年額847,300円の障害基礎年金を受給できます。透析開始から3か月経過すれば請求可能となる特例もあり、初診日から1年6か月を待つ必要はありません。
大切なのは、初診日を正確に特定し、保険料納付要件を満たし、適切な診断書を準備することです。透析治療と仕事・生活の両立に向けて、利用できる制度はしっかり活用しましょう。少しでも不安や疑問があれば、お一人で抱え込まず、専門家に相談してみてください。
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