気分の波が激しく、躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害(躁うつ病)。日常生活や就労に大きな影響を及ぼし、長期的な治療が必要となるこの病気は、障害年金の対象となる可能性があります。しかし「どのタイミングで申請すればいいの?」「躁状態のときは元気そうに見えるけど認められるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、双極性障害で障害年金を申請する際のポイントや注意点を、社労士の視点から丁寧に解説していきます。
双極性障害は障害年金の対象になる?
目次
結論からお伝えすると、双極性障害は障害年金の対象疾患です。国が定める「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」においても、統合失調症やうつ病と並んで障害年金の認定対象として明記されています。
ただし、診断名がついていれば必ず受給できるというわけではありません。重要なのは「日常生活や就労にどの程度の支障が出ているか」という点です。
等級ごとの目安
- 1級:高度の気分や意欲・行動の障害があり、日常生活において常時援助が必要な状態
- 2級:気分や意欲・行動の障害により、日常生活が著しい制限を受ける状態
- 3級(厚生年金のみ):労働が著しい制限を受ける状態
令和8年度の障害基礎年金額は、1級が年額1,059,125円(月額約88,260円)、2級が年額847,300円(月額約70,608円)となっています。
申請の3つの重要ポイント
ポイント1:初診日を正確に特定する
障害年金の申請では、初診日(障害の原因となった病気で初めて医療機関を受診した日)の特定が極めて重要です。双極性障害の場合、最初は「うつ病」と診断されていたケースも多く、その場合はうつ病で初めて受診した日が初診日となります。
「以前うつ病と言われて通院していたけれど、最近双極性障害と診断が変わった」という方は、最初の医療機関で受診状況等証明書を取得する必要があります。カルテの保存期間は5年のため、早めの行動が大切です。
ポイント2:診断書は「悪い状態」を基準に
双極性障害の特徴は、状態が大きく変動することです。診断書を依頼する際は、調子の良い時ではなく、悪い時の状態を含めた全体像を医師に伝えることが重要です。
診察時にたまたま躁状態で饒舌に話してしまうと、医師が「元気そう」と判断してしまうこともあります。普段の生活の困難さを事前にメモにまとめて医師に渡すことをおすすめします。
ポイント3:病歴・就労状況等申立書を丁寧に書く
申立書は、申請者自身が日常生活の困難さを伝える唯一の書類です。以下の点を具体的に記載しましょう。
- 躁状態とうつ状態の具体的なエピソード(衝動買い、過活動による疲弊、希死念慮など)
- 家事・身辺整理・対人関係での困難
- 就労している場合は、配慮や援助の内容
- 発病から現在までの時系列での経過
よくある質問
Q. 働いていると受給できませんか?
就労していても受給できる可能性はあります。ただし、職場での配慮の有無、勤務形態、業務内容、雇用形態(一般雇用か障害者雇用か)などが総合的に判断されます。「働けている=障害が軽い」と単純に判断されるわけではありません。
Q. 躁状態のときは元気だから申請できない?
そんなことはありません。躁状態も双極性障害の症状の一部です。浪費、対人トラブル、過活動による消耗など、躁状態がもたらす生活への支障も評価対象となります。
専門家への相談がおすすめ
双極性障害の障害年金申請は、症状の波があるため状態の伝え方ひとつで結果が変わることもあります。書類の不備や記載内容の不足で不支給となるケースも少なくありません。
不安がある方は、障害年金を専門とする社会保険労務士(社労士)への相談をおすすめします。着手金は事務所によって異なりますが、一般的に2〜5万円程度が相場です。初診日の証明が困難なケースなど状況により金額は変わるため、複数の事務所に確認すると安心です。
まとめ
双極性障害は障害年金の対象となる疾患であり、日常生活や就労に支障がある場合は受給できる可能性があります。申請にあたっては、初診日の特定、診断書の精度、申立書の具体性という3つのポイントが鍵となります。
気分の波に翻弄されながらの申請手続きは、心身ともに大きな負担です。一人で抱え込まず、医師や家族、そして専門家である社労士の力を借りながら、安心して治療に専念できる環境を整えていきましょう。
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