交通事故や転落事故、病気などによって脊髄を損傷したり、手足に麻痺や機能障害が残ったりすると、これまでの生活が一変してしまいます。働くことが難しくなったり、日常生活に介助が必要になったりする中で、経済的な不安を抱える方も多いのではないでしょうか。そんなとき、生活を支える大きな柱となるのが障害年金です。
この記事では、脊髄損傷や肢体不自由で障害年金を申請する際の認定基準、申請のポイント、注意点について詳しく解説します。
脊髄損傷・肢体不自由は障害年金の対象になる?
目次
結論からお伝えすると、脊髄損傷や肢体不自由は障害年金の対象となる可能性が高い傷病です。障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が出ている方を支える国の制度で、肢体の障害は代表的な認定対象のひとつです。
肢体の障害は、認定基準上以下の3つに分けられています。
- 上肢の障害(腕や手の障害)
- 下肢の障害(脚や足の障害)
- 体幹・脊柱の機能の障害
- 肢体の機能の障害(複数の部位にまたがる障害)
脊髄損傷の場合、損傷部位や程度によって四肢麻痺・対麻痺・片麻痺などさまざまな症状が現れるため、「肢体の機能の障害」として総合的に評価されることが多くなります。
障害年金の等級認定の基準
1級・2級・3級の目安
肢体不自由における等級の目安は次の通りです。
- 1級:身の回りのことがほとんどできず、常時介助を要する状態(例:両上肢・両下肢の機能を全廃した場合など)
- 2級:日常生活が著しい制限を受ける状態(例:一上肢および一下肢の機能に著しい障害がある場合など)
- 3級:労働に著しい制限を受ける状態(厚生年金加入者のみ対象)
受給できる年金額(令和8年度)
障害基礎年金の年額は次の通りです。
- 障害基礎年金1級:年額1,059,125円(月額約88,260円)
- 障害基礎年金2級:年額847,300円(月額約70,608円)
厚生年金加入中に初診日がある場合は、これに障害厚生年金が上乗せされ、配偶者がいる場合は加給年金が加算される場合もあります。
申請の際に重要な3つのポイント
ポイント1:初診日を正確に特定する
障害年金の申請では、初診日(その傷病で初めて医師の診療を受けた日)の特定が非常に重要です。脊髄損傷の場合は事故日が初診日となるケースが多いですが、徐々に進行する疾患(脊髄症など)では特定が難しいこともあります。
ポイント2:診断書の内容を丁寧に確認する
肢体の障害用の診断書には、関節可動域・筋力・日常生活動作の状況などを詳細に記載する欄があります。実際の状態が正しく反映されているかを確認することが大切です。具体的には以下の点をチェックしましょう。
- つまむ・握る・タオルを絞るなどの動作の可否
- 立ち上がる・歩く・階段を昇るなどの動作の可否
- 食事・更衣・入浴など身の回りのことの可否
- 麻痺や痺れの程度、装具や車椅子の使用状況
ポイント3:病歴・就労状況等申立書で具体的に伝える
診断書だけでは伝わりにくい日常生活の困難さを補うのが病歴・就労状況等申立書です。「どのような場面で、どの程度困っているか」を具体的なエピソードを交えて記載すると、実態が伝わりやすくなります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 障害者手帳を持っていれば自動的に障害年金がもらえる?
いいえ、障害者手帳と障害年金は別の制度です。手帳の等級と年金の等級も連動していません。手帳が重度でも年金が不支給となるケース、逆に手帳がなくても年金が認定されるケースもあります。
Q2. 仕事をしていても受給できる?
肢体の障害については、働きながら受給している方も多くいらっしゃいます。ただし就労内容や勤務状況も審査の参考にされるため、申立書に職場での配慮事項などを具体的に書くことが重要です。
Q3. 事故から時間が経っているが、今からでも申請できる?
申請可能な場合があります。初診日から1年6か月後の「障害認定日」時点の状態で申請する方法(遡及請求)もあり、最大5年分まで遡って受給できる可能性があります。
申請前のチェックリスト
- 初診日が証明できる資料(受診状況等証明書など)が揃っているか
- 初診日の前日時点で年金保険料の納付要件を満たしているか
- 現在の症状を正しく反映した診断書を医師に依頼できるか
- 日常生活の困難さを具体的に説明できる準備ができているか
肢体不自由の障害年金申請は、診断書の記載内容や申立書の書き方によって結果が大きく変わることがあります。少しでも不安がある方は、障害年金専門の社会保険労務士(社労士)への相談をおすすめします。専門家に依頼することで、適切な等級での認定を受けられる可能性が高まります。
まとめ
脊髄損傷や肢体不自由は、障害年金の対象となる代表的な傷病のひとつです。等級によっては年額100万円を超える年金(1級は1,059,125円、2級は847,300円)が支給され、生活を支える大きな柱となります。
申請にあたっては、初診日の特定・診断書の正確な記載・病歴申立書での具体的な状況説明が重要なポイントです。一人で抱え込まず、ご家族や専門家と相談しながら、安心して申請手続きを進めていきましょう。あなたの状況に合った最適な申請方法を見つけることが、確実な受給への第一歩となります。
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