脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患は、突然発症し、後遺症によって日常生活や仕事に大きな影響を与えることがあります。麻痺や言語障害、高次脳機能障害などが残った場合、「障害年金は受給できるのだろうか?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、脳血管疾患による障害年金の認定基準や申請のポイントを、わかりやすく解説します。
脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)でも障害年金は受給できる
目次
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患による後遺症は、障害年金の対象となる可能性があります。脳血管疾患の後遺症は症状が多岐にわたるため、複数の障害認定基準に該当することがあります。
主な後遺症と該当する認定区分
- 肢体の障害:片麻痺、四肢麻痺、運動障害など
- 言語機能の障害:失語症、構音障害など
- 精神の障害(高次脳機能障害):記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など
- そしゃく・嚥下機能の障害:飲み込みが困難になる症状
これらの後遺症は単独で評価される場合もあれば、複数の障害を併合して認定される場合もあります。
脳血管疾患における初診日の考え方
障害年金の申請では「初診日」が極めて重要です。脳血管疾患の場合、脳梗塞や脳出血を発症して最初に医療機関を受診した日が初診日となります。救急搬送された病院がそのまま初診日となるケースが多いでしょう。
初診日に加入していた年金制度(国民年金か厚生年金か)によって、受給できる年金の種類が変わります。会社員として勤務中に発症した場合は厚生年金に該当し、障害厚生年金3級や障害手当金(一時金)の対象となる可能性もあります。
脳血管疾患の障害認定日の特例
通常、障害年金の認定日は「初診日から1年6ヶ月経過した日」ですが、脳血管疾患には特例があります。
脳血管疾患による肢体の障害で、医学的観点から症状固定と認められる場合には、初診日から6ヶ月経過した日以降であれば、1年6ヶ月を待たずに障害認定日として申請できる可能性があります。ただし、医師が「これ以上の機能回復が見込めない」と判断していることが条件となります。
受給できる年金額(令和8年度)
障害基礎年金の年金額は次のとおりです。
- 障害基礎年金1級:年額 1,059,125円(月額約88,260円)
- 障害基礎年金2級:年額 847,300円(月額約70,608円)
初診日に厚生年金に加入していた場合は、これに障害厚生年金が上乗せされ、3級や障害手当金の対象となるケースもあります。配偶者や子どもがいる場合は加算もあります。
申請時のチェックポイント
1. 診断書の内容を必ず確認する
脳血管疾患の後遺症は、診断書の記載内容によって等級判定が大きく左右されます。麻痺の程度、関節可動域、日常生活動作(食事・着替え・入浴など)の状況が正確に反映されているか必ず確認しましょう。
2. 高次脳機能障害は見落とされやすい
身体的な麻痺だけでなく、記憶力の低下、感情のコントロールが難しい、複数の作業ができないといった高次脳機能障害がある場合は、精神の診断書も併せて検討する必要があります。家族から見て「以前と性格や行動が変わった」と感じる場合は、医師に相談してみましょう。
3. 病歴・就労状況等申立書の重要性
発症前の生活と現在の生活の違い、日常で困っていることを具体的に記載することが大切です。「一人で外出できない」「家事ができない」など、具体的なエピソードを盛り込みましょう。
よくある質問
Q. リハビリで回復している途中ですが、申請できますか?
初診日から1年6ヶ月(または特例による6ヶ月)が経過していれば申請は可能です。ただし、症状固定の判断は主治医の見解によります。
Q. 仕事に復帰したら受給できませんか?
就労していても受給できる可能性はあります。特に肢体の障害では、就労状況だけでなく身体機能の状態で判定されることが多いです。
専門家への相談をおすすめします
脳血管疾患の障害年金申請は、後遺症が多岐にわたるため、どの診断書を取得すべきか、どの基準で申請すべきかの判断が難しいケースが多くあります。また、初診日の証明や認定日特例の適用など、専門的な知識が必要な場面も少なくありません。
不安な点がある場合は、障害年金専門の社会保険労務士(社労士)への相談をおすすめします。着手金は2〜5万円程度が一般的ですが、状況によって異なるため、複数の事務所で相談してみるとよいでしょう。多くの社労士事務所では初回相談を無料で行っています。
まとめ
脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患による後遺症は、障害年金の対象となる可能性があります。肢体の障害、言語障害、高次脳機能障害など複数の症状が組み合わさることが多く、適切な申請には専門的な知識が必要です。特に脳血管疾患には認定日の特例があるため、早めに情報収集を始めることが重要です。一人で悩まず、医師や社会保険労務士などの専門家と連携しながら、ご自身やご家族の生活を支える制度をぜひ活用してください。
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