「視力が低下してきて仕事に支障が出ている」「補聴器をつけても会話が聞き取れない」――そんなお悩みを抱えている方にとって、障害年金は生活を支える大切な制度です。視覚障害や聴覚障害は、客観的な検査数値で障害の程度を判定しやすい一方、申請手続きには独特のルールがあり、知らずに進めると不支給になってしまうケースもあります。
この記事では、視覚障害・聴覚障害で障害年金を申請する際の認定基準や注意点、準備すべき書類について、社労士の視点からわかりやすく解説します。
視覚障害で障害年金が認定される基準
目次
視覚障害による障害年金は、令和4年1月の認定基準改正により、視力と視野の両面から判断されるようになりました。
視力による認定基準
両眼の視力(矯正視力)の合計値で等級が決まります。
- 1級:両眼の視力の和が0.04以下
- 2級:両眼の視力の和が0.05以上0.08以下
- 3級(厚生年金のみ):両眼の視力の和が0.1以下
視野による認定基準
ゴールドマン型視野計やオートグラフ視野計(自動視野計)による測定結果で判定されます。求心性視野狭窄や半盲性視野欠損なども対象です。網膜色素変性症や緑内障による視野障害がある方は、視力だけでなく視野の検査結果も必ず確認しましょう。
聴覚障害で障害年金が認定される基準
聴覚障害は、純音聴力レベル(dB)と最良語音明瞭度(%)の組み合わせで判定されます。
- 1級:両耳の聴力レベルが100dB以上
- 2級:両耳の聴力レベルが90dB以上、または両耳80dB以上かつ最良語音明瞭度30%以下
- 3級(厚生年金のみ):両耳の聴力レベルが70dB以上、または50dB以上かつ最良語音明瞭度50%以下
補聴器を使用していない裸耳の状態で測定した数値で判断される点に注意が必要です。
受給できる金額はいくら?
令和8年度の障害基礎年金の金額は次のとおりです。
- 1級:年額 1,059,125円(月額約88,260円)
- 2級:年額 847,300円(月額約70,608円)
厚生年金加入中に初診日がある場合は、これに障害厚生年金が上乗せされ、3級でも受給できる可能性があります。子の加算や配偶者加給年金が付く場合もあります。
申請時の重要なチェックポイント
初診日の特定が最重要
視覚障害・聴覚障害の場合、初めて症状を自覚して医療機関を受診した日が初診日となります。先天性の弱視・難聴と区別が必要なケースもあり、子どもの頃の診療記録が重要になることもあります。
診断書の様式に注意
視覚障害は「眼の障害用」、聴覚障害は「聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・言語機能の障害用」の専用様式があります。検査数値が正確に記載されているか、必ず確認しましょう。
進行性の疾患は更新時の見直しを
網膜色素変性症や進行性難聴など、症状が進行する疾患の場合、額改定請求により等級が上がる可能性があります。症状が悪化したと感じたら、医師に相談のうえ手続きを検討しましょう。
よくある質問
Q. 片目だけの失明でも障害年金は受給できますか?
A. 厚生年金加入中の初診日であれば、障害手当金(一時金)の対象となる可能性があります。基礎年金のみの場合は、両眼の合計視力で判定されるため、原則として受給は難しいケースが多いです。
Q. 人工内耳を装用していますが申請できますか?
A. 人工内耳を装用する前の聴力レベルで認定が判断されることがあります。装用前の検査記録を残しておくことが大切です。
専門家への相談をおすすめします
視覚障害・聴覚障害の障害年金申請は、検査数値さえ満たせば認定されると思われがちですが、初診日の証明や診断書の記載内容によって結果が大きく変わることがあります。特に長年通院していなかった方や、症状が進行している方は、社労士に相談することで申請の見通しが立ちやすくなります。
障害年金専門の社労士に依頼する場合、着手金は2〜5万円程度が相場です。初診日の証明が困難なケースなど、状況により費用は異なりますので、複数の事務所で見積もりを取るとよいでしょう。
まとめ
視覚障害・聴覚障害による障害年金は、視力・視野・聴力レベルといった客観的な検査数値が判定の中心となるため、比較的認定基準が明確な障害です。しかし、初診日の特定や診断書の記載内容など、申請実務では専門知識が必要な場面が多くあります。
「自分は受給できるのだろうか」と迷っている方は、まずはご自身の検査数値を確認し、必要に応じて障害年金専門の社労士に相談してみることをおすすめします。正しい知識と準備があれば、安心して申請に進むことができます。
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