障害や病気で働けなくなったとき、生活を支える制度として「障害年金」と「生活保護」があります。「どちらを申請すればいいの?」「両方もらえるの?」と悩む方は少なくありません。この記事では、両制度の違いや併給の仕組み、ご自身に合った選び方をわかりやすく解説します。
障害年金と生活保護の基本的な違い
目次
まずは、それぞれの制度がどのようなものか整理してみましょう。両者は似ているようで、目的も仕組みもまったく異なります。
障害年金とは
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障が出ている方に支給される公的年金制度の一つです。年金保険料の納付実績が前提となり、所得制限は原則ありません(20歳前障害の場合を除く)。
令和8年度の障害基礎年金の金額は以下の通りです。
- 障害基礎年金1級:年額 1,059,125円(月額約88,260円)
- 障害基礎年金2級:年額 847,300円(月額約70,608円)
厚生年金加入中に初診日がある場合は、これに障害厚生年金が上乗せされます。
生活保護とは
生活保護は、資産や収入が国の定める「最低生活費」を下回る世帯に対して、不足分を補う公的扶助制度です。健康状態に関係なく、生活に困窮しているすべての人が対象となります。
支給額は地域や世帯人数、年齢によって異なり、家賃補助(住宅扶助)や医療費(医療扶助)なども含まれます。
障害年金と生活保護の比較表
主な違いを以下にまとめました。
- 財源:障害年金は年金保険料/生活保護は税金
- 受給要件:障害年金は障害の程度と保険料納付要件/生活保護は世帯の収入・資産
- 資産制限:障害年金はなし/生活保護はあり(預貯金・車・持ち家など制限あり)
- 使い道:障害年金は自由/生活保護は最低限度の生活のため
- 働いた場合:障害年金は基本的に減額なし/生活保護は収入分が差し引かれる
両方もらえる?併給の仕組み
結論からお伝えすると、障害年金と生活保護は併給可能です。ただし、生活保護費は「最低生活費から収入を差し引いた額」が支給される仕組みのため、障害年金を受け取ると、その分だけ生活保護費が減額されます。
「それなら障害年金を申請しても意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、実はメリットがあります。
障害年金を受給するメリット(生活保護受給中の場合)
- 障害者加算が付く可能性:障害年金1級・2級に該当すると、生活保護に障害者加算(月15,000円〜26,000円程度)が上乗せされます
- 自立への足がかりになる:将来生活保護から脱却した際にも、障害年金は継続して受給できます
- 使い道が自由:障害年金部分は貯蓄や趣味にも使えます(生活保護費とは扱いが異なります)
なお、福祉事務所からは「先に障害年金を申請してください」と案内されるケースが一般的です。これは、他制度を優先的に活用するという生活保護の原則(補足性の原理)によるものです。
どちらを選ぶべき?選び方のポイント
状況に応じた選び方の目安を紹介します。
まず障害年金を検討すべきケース
- ある程度の貯蓄や持ち家・車などの資産がある
- 家族と同居しており、世帯収入がある
- 働きながら通院・治療を続けている
- 将来的にも自分の名義で資産を持ちたい
生活保護も視野に入れるケース
- 障害年金の額だけでは生活費・医療費が足りない
- 保険料未納などで障害年金の受給が難しい
- 頼れる家族がおらず、資産もほとんどない
申請時のチェックポイント
- 初診日の特定:障害年金は初診日の証明が最重要です。カルテの保存期間(5年)を超えている場合は早めの対応を
- 保険料納付要件:初診日の前々月までの納付状況を年金事務所で確認しましょう
- 診断書の内容:日常生活の支障を正確に医師へ伝えることが大切です
- 福祉事務所との連携:生活保護受給中の方は、障害年金申請の意向を必ず担当ケースワーカーに伝えましょう
よくある質問(Q&A)
Q. 生活保護を受けながら障害年金を申請できますか?
A. はい、可能です。むしろ福祉事務所から申請を促されることが多いです。
Q. 障害年金が決まったら遡及分はどうなりますか?
A. 生活保護受給期間と重なる遡及分については、原則として福祉事務所への返還が必要になります。
Q. 障害年金の申請は自分一人でできますか?
A. ご自身での申請も可能ですが、初診日の証明や診断書の取り扱いなど専門知識が必要な場面が多いため、社会保険労務士(社労士)への相談をおすすめします。着手金は2〜5万円程度が目安で、状況により異なります。
まとめ
障害年金と生活保護は、目的も仕組みも異なる制度ですが、両方を上手に活用することで生活の安定につながります。ポイントは以下の通りです。
- 障害年金は保険料の納付実績に基づく権利、生活保護は最低生活を保障するセーフティネット
- 両制度は併給可能だが、障害年金分は生活保護費から差し引かれる
- 障害年金を受給すると「障害者加算」が付く可能性があり、結果的に手取りが増えるケースもある
- 資産状況やご家族の状況により最適な選択は異なる
申請に不安がある場合は、お一人で抱え込まず、障害年金に詳しい社会保険労務士(社労士)への相談を検討してみてください。専門家のサポートを受けることで、受給の可能性が広がる場合があります。
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