「障害年金を受給しているけれど、生活が苦しい。生活保護も受けられるのだろうか?」「生活保護を受けているけど、障害年金を申請したらどうなるの?」――このような疑問をお持ちの方は少なくありません。結論からお伝えすると、障害年金と生活保護は併用が可能です。ただし、その仕組みを正しく理解しておかないと、思わぬ誤解や手続き上のトラブルにつながることもあります。この記事では、両制度の関係性や注意点について、わかりやすく解説していきます。
障害年金と生活保護はどちらが優先される?
目次
まず大前提として、生活保護法では「他法他施策優先の原則」というルールがあります。つまり、障害年金など他の制度で受け取れるお金がある場合は、まずそちらを優先して受給するということです。
そのため、障害年金を受給できる可能性がある方は、生活保護よりも先に障害年金の申請を検討することになります。すでに生活保護を受給している方でも、福祉事務所のケースワーカーから障害年金の申請を勧められるケースが多くあります。
併用したらどうなるの?
併用と言っても、両方の金額が単純に上乗せされるわけではありません。仕組みは以下の通りです。
- 生活保護費は、その世帯の最低生活費から収入を差し引いた額が支給される
- 障害年金は「収入」として扱われる
- そのため、障害年金の額だけ生活保護費が減額される
たとえば、最低生活費が13万円の方が障害基礎年金2級(月額約70,608円)を受給する場合、生活保護費は差額の約59,392円が支給される、というイメージです。
それでも障害年金を申請するメリットは?
「総額が変わらないなら、申請する意味がないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、障害年金を受給することには次のような大きなメリットがあります。
1. 障害者加算が受けられる
障害年金1級・2級に該当すると、生活保護に「障害者加算」が上乗せされます。等級や地域により異なりますが、月額1.5万円〜2.7万円程度が加算されるため、世帯としての受給総額は増えることになります。
2. 生活保護から脱却できる可能性がある
障害基礎年金1級は年額1,059,125円(月額約88,260円)、2級は年額847,300円(月額約70,608円)です。これに加え、就労収入や障害厚生年金がある方は、生活保護を受けずに自立した生活を送れる可能性も広がります。
3. 自由度が高まる
生活保護には資産制限や生活上の制約がありますが、障害年金にはそうした制限がありません。将来的に貯蓄や資産形成を考える場合、障害年金のみでの生活を目指すことには大きな意味があります。
申請時に気をつけたいチェックポイント
- 遡及請求で一時金が出る場合は要注意:障害年金が遡って支給されると、過去に受け取った生活保護費の一部を返還する必要があります
- 福祉事務所への申告は必須:障害年金の受給が決まったら、必ずケースワーカーに報告しましょう
- 障害者加算の申請を忘れない:自動的に加算されない場合もあるため、自ら申し出ることが大切です
- 年金証書のコピーを保管:等級確認のために必要になります
よくある質問(Q&A)
Q. 生活保護を受けながら障害年金を申請できますか?
はい、可能です。むしろ福祉事務所から申請を勧められることが一般的です。診断書代などの申請費用についても、ケースワーカーに相談すれば対応してもらえる場合があります。
Q. 障害年金が決定したら生活保護は打ち切られますか?
障害年金の額が最低生活費を上回れば生活保護は廃止されますが、下回る場合は併給が継続されます。
専門家への相談がおすすめです
障害年金の申請は、初診日の証明や診断書の内容など、専門的な知識が求められる場面が多くあります。特に生活保護との関係や遡及請求の有無など、判断が難しいケースでは社会保険労務士(社労士)への相談をおすすめします。着手金の相場は2〜5万円程度ですが、初診日の証明が困難なケースなど状況によって異なるため、複数の事務所で確認するとよいでしょう。生活保護受給中の方は、申請費用について福祉事務所に事前相談することも大切です。
まとめ
障害年金と生活保護は併用が可能で、障害者加算によって世帯の受給総額が増えるなどのメリットがあります。ただし、障害年金は「収入」として扱われるため、生活保護費はその分減額される仕組みです。遡及請求による返還義務や、ケースワーカーへの申告など、注意すべきポイントもいくつかあります。ご自身の状況に合った最適な選択をするためにも、社労士などの専門家や福祉事務所と連携しながら、申請を進めていきましょう。
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