ASD・ADHDの年金申請ポイント

「発達障害があって仕事や日常生活が思うようにいかない」「ADHDやASDの診断を受けたけれど、障害年金の対象になるの?」——そんな疑問を抱えている方は少なくありません。発達障害は外見からは分かりにくく、本人の努力不足と誤解されがちですが、実は障害年金の対象となる可能性がある障害です。この記事では、発達障害(ASD・ADHD)と障害年金の関係について、認定基準や申請のポイントを分かりやすく解説します。

発達障害(ASD・ADHD)は障害年金の対象になる?

結論からお伝えすると、発達障害は障害年金の対象です。日本年金機構が定める「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」において、発達障害は明確に認定対象として位置づけられています。

対象となる主な発達障害

  • 自閉スペクトラム症(ASD):対人関係やコミュニケーションの困難、こだわりの強さ
  • 注意欠如・多動症(ADHD):不注意、多動性、衝動性
  • 学習障害(LD):読み書きや計算など特定領域の困難
  • これらが併発しているケース、またはうつ病・不安障害などの二次障害を伴うケース

発達障害は生まれつきの特性ですが、社会生活の中でその困難が顕在化し、就労や日常生活に支障が出るレベルであれば、障害年金の受給対象となる可能性があります。

発達障害における障害年金の認定基準

発達障害の場合、診断名そのものよりも「日常生活や就労にどの程度支障があるか」が重視されます。等級は1級〜3級(障害厚生年金の場合)に分かれており、概ね以下のように判定されます。

等級の目安

  • 1級:他人との意思伝達がほぼ不可能で、日常生活に常時援助が必要な状態
  • 2級:日常生活に著しい制限があり、就労が困難または限定的な援助下でしか生活できない状態
  • 3級(厚生年金のみ):労働に著しい制限を受ける状態(例:一般就労が難しく障害者雇用や短時間勤務に限られる)

令和8年度の障害基礎年金額

  • 障害基礎年金1級:年額 1,059,125円(月額約88,260円)
  • 障害基礎年金2級:年額 847,300円(月額約70,608円)

厚生年金加入中に初診日がある場合は、これに障害厚生年金が上乗せされます。

発達障害で申請する際のポイント

1. 初診日の特定が重要

発達障害は生まれつきの特性のため、20歳前に初診日があるケースが多く見られます。この場合は「20歳前傷病による障害基礎年金」として申請することになります。一方、大人になってから診断を受けた方は、初めて医療機関を受診した日が初診日となります。子どもの頃にADHDの傾向で受診した記録があれば、それが初診日と認定される可能性もあります。

2. 診断書は「日常生活能力」が鍵

医師に診断書を作成してもらう際は、以下のような具体的な生活上の困りごとを伝えることが重要です。

  • 食事・金銭管理・通院などが一人でできるか
  • 対人関係でトラブルが頻発していないか
  • 仕事のミスや遅刻・欠勤が多くないか
  • 音や光などの感覚過敏で生活に支障が出ていないか
  • 家族や支援者からどの程度サポートを受けているか

3. 病歴・就労状況等申立書を丁寧に

幼少期から現在までの経過、学校生活での困難、就労歴と離職の理由などを時系列で具体的に記載しましょう。「普通にできる」と書いてしまうと軽く見られがちですが、実際には周囲の配慮や工夫があってこそ成り立っているケースも多いものです。ありのままの困難を伝えることが大切です。

よくある質問(Q&A)

Q. 障害者雇用で働いていても受給できますか?

A. 受給できる可能性があります。障害者雇用や短時間勤務、職場での特別な配慮を受けて働いている状況は、就労に著しい制限がある証拠とみなされることがあります。働いている=不支給とは限りません。

Q. 二次障害のうつ病で申請する方がよい?

A. ケースバイケースです。発達障害単独より、二次障害を含めた総合的な状態で申請したほうが等級判定上有利になる場合もあります。主治医や社労士と相談して判断しましょう。

Q. 知的障害を伴わないASDでも対象になりますか?

A. 知的障害を伴わなくても、社会生活への適応に著しい困難があれば対象となる可能性があります。

専門家への相談をおすすめします

発達障害の障害年金申請は、初診日の特定や診断書の内容によって結果が大きく左右されます。特に「働いているけれど困難を抱えている」「子どもの頃の受診記録が残っていない」といったケースでは、ご自身だけで申請を進めると不支給になってしまうリスクもあります。

障害年金を専門とする社会保険労務士(社労士)に相談すれば、書類作成のサポートや医師への伝え方のアドバイスを受けられます。着手金は2〜5万円程度が一般的ですが、初診日の証明が困難なケースなど状況により金額は異なります。まずは無料相談を活用してみるのもおすすめです。

まとめ

発達障害(ASD・ADHD)は、日常生活や就労に著しい支障があれば障害年金の対象となる可能性があります。ポイントとなるのは初診日の特定、診断書の具体性、病歴・就労状況等申立書の丁寧な記載の3つです。令和8年度の障害基礎年金は1級で年額1,059,125円、2級で年額847,300円が支給されます。

「自分は対象になるのだろうか」と一人で悩まず、まずは情報を集め、必要に応じて専門家に相談することから始めてみましょう。あなたの生活を支える制度を、ぜひ正しく活用してください。

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