障害年金の申請において、最初の関門となるのが「初診日の証明」です。初診日が確定できないと、年金請求そのものが進められないケースもあり、多くの方がこの段階で悩まれます。「カルテが廃棄されていた」「初めて受診した病院がもうない」など、証明が難しいケースは決して珍しくありません。この記事では、初診日の証明が難しい代表的なケースと、その対処法について詳しく解説します。
そもそも「初診日」とは?なぜ重要なのか
目次
初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことを指します。同じ病名でなくても、症状について最初に受診した日が初診日となる場合もあります。
この初診日が重要な理由は、主に以下の3点です。
- 加入していた年金制度の判定(国民年金か厚生年金か)
- 保険料納付要件の確認(初診日の前日時点での納付状況)
- 障害認定日の起算点(原則として初診日から1年6か月後)
たとえば、初診日に厚生年金に加入していれば障害厚生年金の対象となり、3級や障害手当金の可能性も広がります。一方、国民年金加入中であれば障害基礎年金(1級:年額1,059,125円、2級:年額847,300円)の対象となります。初診日がいつかによって、受給できる年金の種類や金額が大きく変わるのです。
初診日の証明が難しくなる代表的なケース
ケース1:カルテが廃棄されている
医師法ではカルテの保存期間は診療完結日から5年間と定められています。そのため、初診から長期間が経過している場合、すでにカルテが破棄されてしまっていることがあります。特に、うつ病や統合失調症などの精神疾患では、初診から何年も経ってから申請するケースも多く、証明に苦労する方が少なくありません。
ケース2:初診の病院が廃院している
個人クリニックなどでは、医師の高齢化や引退により病院自体がなくなっていることもあります。この場合、受診状況等証明書(初診日を証明する書類)の取得が困難になります。
ケース3:転院を繰り返している
複数の病院を転々としている場合、最初に受診した病院を本人が忘れてしまっていたり、紹介状がなく前医情報が引き継がれていなかったりすることがあります。
ケース4:傷病名が変わっている
「不眠症」で受診していたものが後に「うつ病」と診断された場合など、傷病名が変わっているケースでは、どの受診日を初診日とすべきか判断が難しくなります。
初診日が証明できない時の対処法
対処法1:第三者証明を活用する
初診日を証明する書類が取得できない場合、第三者証明という方法が認められています。これは、当時の状況を知る第三者(友人、職場の同僚、近所の方など)に、受診の事実を証明してもらう方法です。原則として、三親等以内の親族による証明は認められないので注意しましょう。
20歳以降に初診日がある場合は、第三者証明に加えて参考資料の提出が必要です。
対処法2:参考資料を集める
初診日を間接的に証明できる資料として、以下のようなものが活用できます。
- 身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の申請時の診断書
- 健康保険の給付記録(傷病手当金の申請記録など)
- 診察券(日付の記載があるもの)
- お薬手帳・処方箋
- 診療報酬明細書(レセプト)
- 事業所の健康診断記録
- 母子手帳(先天性疾患の場合)
- 労災給付関係書類
対処法3:2番目以降の病院から遡って調査する
最初の病院でカルテがなくても、2番目に受診した病院のカルテに「○年○月頃から△△医院で治療を受けていた」といった記載があれば、それが初診日の参考資料となる可能性があります。転院先のカルテ開示請求を検討してみましょう。
対処法4:初診日の特例制度を確認する
一定の条件を満たす場合、本人申立てによる初診日の認定が認められるケースもあります。たとえば、初診日が一定期間内にあることが複数の資料から推認できる場合などです。
申請前に確認したいチェックポイント
- 初診日の記憶を時系列で整理する(何歳頃、どんな症状で、どこを受診したか)
- 当時の手帳・日記・SNSの記録を見返す
- 家族や知人に当時の状況を確認する
- 過去の健康保険証・診察券・領収書を探す
- 受診歴のある医療機関に順番に問い合わせる
初診日の証明は、障害年金申請における最も難しいポイントの一つです。書類の取得方法や第三者証明の書き方には細かなルールがあり、不備があると申請が認められないこともあります。ご自身での対応が難しいと感じたら、障害年金に詳しい社労士など専門家への相談をおすすめします。早い段階で相談することで、証明資料の収集もスムーズに進む場合があります。
まとめ
初診日の証明は、障害年金申請における最重要ポイントです。カルテの廃棄や病院の廃院などで証明が難しい場合でも、第三者証明や各種参考資料を活用することで、認定される可能性は十分にあります。大切なのは、諦めずに様々な角度から証拠を集めることです。お薬手帳や診察券など、一見些細に思える資料も有力な手がかりになります。一人で抱え込まず、専門家のサポートも上手に活用しながら、ご自身に合った申請方法を探していきましょう。
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