双極性障害(躁うつ病)は、気分の高揚(躁状態)と落ち込み(うつ状態)を繰り返す精神疾患です。症状の波があるため、就労や日常生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。「働けない時期があるけれど、調子が良いときもある」「どのタイミングで申請すべきか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。この記事では、双極性障害で障害年金を申請する際のポイントを、社労士の視点から分かりやすく解説します。
双極性障害は障害年金の対象になるのか
目次
結論からお伝えすると、双極性障害は障害年金の対象疾患です。精神の障害として、うつ病や統合失調症と同じく「気分(感情)障害」のカテゴリーに分類され、症状の重さや日常生活への支障の程度に応じて等級が認定されます。
ただし、すべての方が受給できるわけではなく、初診日要件・保険料納付要件・障害認定基準という3つの条件を満たす必要があります。特に双極性障害の場合は、症状の波があることから、認定の判断にコツが必要となるケースが多いのが特徴です。
障害年金の等級と支給額(令和8年度)
- 1級:年額1,059,125円(月額約88,260円)— 日常生活のほとんどに援助が必要な状態
- 2級:年額847,300円(月額約70,608円)— 日常生活に著しい制限を受ける状態
- 3級:厚生年金加入者のみ対象。労働に著しい制限を受ける状態
双極性障害における障害認定基準のポイント
精神の障害は「日常生活能力」と「労働能力」の2軸から総合的に判断されます。双極性障害の場合、特に注目されるのは以下の点です。
1. 病相期(症状が出ている期間)の頻度と程度
躁状態とうつ状態がどのくらいの頻度で現れ、それぞれどの程度日常生活に影響しているかが重要です。寛解期(症状が落ち着いている時期)があっても、病相を繰り返している事実が診断書に正確に記載されることが大切です。
2. 日常生活能力の判定
診断書では、以下の7項目について「できる/一部援助/著しい援助/できない」で評価されます。
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
調子が良いときの状態だけで判断せず、悪い時期も含めた平均的な状態を医師に正確に伝えることが申請のカギになります。
申請を成功させるための実践チェックポイント
初診日を正確に特定する
双極性障害は、最初は「うつ病」と診断されているケースが非常に多い疾患です。後に双極性障害へと診断が変わっても、初診日は最初に精神科や心療内科を受診した日となります。古いカルテが破棄されている場合もあるため、早めに受診状況等証明書を取得しましょう。
診断書の作成依頼時の伝え方
- 躁状態・うつ状態それぞれの具体的な症状を伝える
- 「悪いときはこれができない」と具体例を挙げる
- 家族や周囲のサポートがあって生活できている事実を伝える
- 就労している場合も、配慮や援助の内容を医師に伝える
病歴・就労状況等申立書の重要性
診断書を補完するのが、自身で記載する申立書です。発症から現在までの経過、症状の波、就労や日常生活への影響を時系列で具体的に書きましょう。「家族の声かけがないと食事が摂れない」「躁状態のときに浪費してしまった」など、具体的なエピソードが説得力を持ちます。
双極性障害の申請でよくある質問
Q. 仕事をしていても申請できますか?
就労していても申請は可能です。ただし、就労形態や職場での配慮の有無、勤務日数などが審査で考慮されます。フルタイムで一般雇用の場合は不利になる傾向がありますが、障害者雇用や短時間勤務、休職を繰り返している場合などは認定される可能性があります。
Q. 調子が良いタイミングで診断書を書いてもらうとどうなる?
診断書作成時の状態だけで評価されると、本来の症状の重さが反映されません。過去の病相期の状態も含めて記載してもらうことが重要です。可能であれば、症状が重い時期に診断書を依頼するか、平均的な状態を踏まえて書いてもらえるよう医師に相談しましょう。
Q. 一度不支給になったら再申請できない?
不支給決定後でも、審査請求や再申請が可能です。症状が悪化した場合は「額改定請求」もできます。諦めずに専門家に相談することをおすすめします。
専門家への相談を検討しましょう
双極性障害の障害年金申請は、症状の波をどう表現するか、診断書と申立書の整合性をどう取るかなど、専門的な知識と経験が求められます。書類の不備や表現の仕方ひとつで結果が変わることも珍しくありません。
障害年金を専門とする社労士に依頼すると、着手金は2〜5万円程度が相場で、初診日の証明が困難なケースなど状況により異なります。無料相談を受け付けている事務所も多いので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
まとめ
双極性障害(躁うつ病)は障害年金の対象となる疾患であり、症状の重さや日常生活への影響に応じて1級・2級・3級の認定を受けられる可能性があります。申請にあたっては、初診日の特定、症状の波を正確に伝えること、日常生活能力の状態を具体的に医師へ共有することが重要なポイントです。
「自分は受給できるのだろうか」と迷ったら、まずは情報収集から始め、必要に応じて障害年金専門の社労士に相談してみてください。適切なサポートを受けることで、安心して申請手続きを進められるはずです。
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