遡及請求で最大5年分受給

障害年金の申請を検討されている方の中には、「もっと早く申請していればよかった」と感じている方も多いのではないでしょうか。実は、一定の条件を満たせば、過去にさかのぼって障害年金を受け取れる「遡及請求(さかのぼり請求)」という制度があります。この記事では、障害認定日の考え方から遡及請求の具体的な進め方まで、わかりやすく解説します。

障害認定日とは?基本を理解しよう

障害認定日とは、障害の程度を認定する基準日のことで、障害年金が支給されるかどうかの判断はこの日を起点に行われます。

障害認定日の原則ルール

  • 初診日から1年6か月を経過した日
  • 1年6か月以内に症状が固定した場合は、その固定日

たとえば、初診日が2020年4月1日であれば、原則として障害認定日は2021年10月1日となります。

特例として早く認定されるケース

傷病によっては、1年6か月を待たずに障害認定日が定められる特例があります。

  • 人工透析療法を開始してから3か月を経過した日
  • 心臓ペースメーカーや人工弁を装着した日
  • 人工肛門の造設、新膀胱の造設をした日
  • 切断または離断による肢体の障害はその日
  • 在宅酸素療法を開始した日

遡及請求(さかのぼり請求)とは?

遡及請求とは、障害認定日の時点ですでに障害等級に該当する状態だったにもかかわらず、何らかの理由で当時申請しなかった方が、過去にさかのぼって年金を請求する手続きです。

最大5年分まで受給できる可能性

遡及請求が認められると、障害認定日の翌月分から年金が支給されます。ただし、年金には5年の時効があるため、実際に受け取れるのは最大で5年分までとなります。

たとえば、障害基礎年金2級が10年前にさかのぼって認められた場合でも、受給できるのは直近5年分の 847,300円 × 5年 = 約423万円(令和8年度額で計算)が一括で支給されるイメージです。1級であれば年額1,059,125円が基準となります。

遡及請求の進め方|5つのステップ

ステップ1:初診日を確定させる

障害年金請求のすべての出発点は初診日の特定です。初診日が確定しなければ、障害認定日も決まりません。当時のカルテや診察券、お薬手帳など、初診日を裏付ける資料を集めましょう。

ステップ2:障害認定日当時の診断書を取得する

遡及請求で最大の壁となるのが、障害認定日当時(初診日から1年6か月経過時点)の診断書を入手することです。

  • 原則、障害認定日から3か月以内の状態を記載した診断書が必要
  • カルテの保存期間は法律上5年のため、古い記録は破棄されている可能性がある
  • 転院している場合は、当時の医療機関に直接問い合わせる

ステップ3:請求日(現在)の診断書も取得する

遡及請求では、障害認定日時点の診断書と現在の診断書の2通が必要になります。これにより、過去分と現在以降の年金の両方を請求できます。

ステップ4:病歴・就労状況等申立書を作成する

初診日から現在までの症状の経過、日常生活の状況、就労状況などを時系列で詳しく記載します。診断書だけでは伝わらない苦労や生活への影響を、自分の言葉で表現することが重要です。

ステップ5:年金事務所へ提出

必要書類が揃ったら、お住まいの地域の年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。

遡及請求でよくある質問

Q1:障害認定日当時のカルテが破棄されていたら?

カルテがない場合は遡及請求が難しくなりますが、当時の検査データや看護記録、第三者証明などで補える場合もあります。あきらめる前に専門家に相談しましょう。

Q2:遡及請求と事後重症請求の違いは?

遡及請求は障害認定日時点ですでに該当する障害状態だった場合の請求、事後重症請求は障害認定日時点では軽症だったがその後悪化した場合の請求です。事後重症請求では過去にさかのぼった支給はありません。

Q3:遡及請求が認められない場合はどうなる?

障害認定日当時の診断書で等級に該当しないと判断されても、現在の診断書で該当すれば、事後重症請求として扱われ、請求月の翌月分から年金が支給される可能性があります。

遡及請求を成功させるためのチェックポイント

  • 初診日を裏付ける資料を可能な限り多く集める
  • 障害認定日当時に通院していた医療機関を早めに確認する
  • 診断書の記載内容と病歴申立書の整合性を確認する
  • 日常生活の困難さを具体的なエピソードで記載する
  • 不明点はひとりで抱え込まず専門家に相談する

遡及請求は通常の請求よりも書類が多く、立証のハードルも高くなります。少しでも不安がある方は、障害年金専門の社労士への相談をおすすめします。着手金は2〜5万円程度が一般的で、初診日の証明が困難なケースなど状況により異なりますが、過去分の年金を一括で受け取れる可能性を考えれば、専門家のサポートを受ける価値は十分にあります。

まとめ

障害認定日と遡及請求は、障害年金を最大限活用するうえで非常に重要なポイントです。要点を整理します。

  • 障害認定日は原則「初診日から1年6か月を経過した日」
  • 遡及請求が認められれば最大5年分の年金を一括受給できる可能性がある
  • 障害認定日当時の診断書と現在の診断書の2通が必要
  • カルテ保存期間(5年)の問題があるため、早めの行動が重要
  • 1級なら年額1,059,125円、2級なら年額847,300円(令和8年度)が基準

「自分も遡及請求できるかもしれない」と感じた方は、まずは初診日や当時の通院状況を整理することから始めてみましょう。手続きは複雑ですが、正しく進めれば過去の苦労が報われる結果につながる場合があります。

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